抜かない矯正「非抜歯矯正」
抜かない矯正
「非抜歯矯正」について
お口は、全ての歯の本数が揃ってこそ正常な咬み合わせを実現します。顎の位置のずれが不正咬合の原因の一つだとは考えられていない以前の歯列矯正では、当たり前に抜歯が行われていましたが、咬み合わせを考慮した不正咬合の治療では、抜歯の必要がないということだけでなく、抜歯をすることによって機能的な咬み合わせが得られないと判断されるケースが多いのです。
当院では、やみくもに非抜歯矯正を進めるわけではなく、顎の機能検査を含めた精密検査を行った上で、抜歯もしくは非抜歯を検討しますが、開業以来、現在まで抜歯の必要な方はいらっしゃいませんでした。中には、他院での抜歯矯正後に「きちんと噛めない」「口が開かない」「顎が痛い」などの不調を訴えて来院される患者様もいらっしゃいますが、そのような場合はブリッジやインプラントなどで失った歯を補う処置を行うこともあります。矯正治療の成功条件は「咬み合わせ」と言っても過言ではなく、正常な咬み合わせは、歯を1本でも失うとバランスが崩れてしまうのです。
当院の矯正治療の特徴
当院の治療目標
私たちが提供する矯正治療は、見た目の美しさという側面だけで完結しません。歯を動かすことによる顎関節への影響と、患者様個々が持つ口腔内の特性を深く考慮します。生涯にわたり機能する、ブレのない安定した咬み合わせ(咬合)を確立することを、当院の最重要の治療目標としています。
的確な診断のための顎の検査
顎機能を含めた質の高い治療を実現するため、治療に先立ち的確な「診断」を行うことが不可欠です。この診断のために、術前検査として顎機能検査を必須としています。歯並びや骨格に関するデータを的確に分析し、その情報を基に治療計画を構築します。
非抜歯矯正の治療期間や
時間について
歯並びには、出っ歯・すきっ歯・受け口など、さまざまなお悩みがありますから、矯正治療期間は人ぞれぞれです。矯正装置を付けて歯の移動を開始する「動的治療期間」は、約1年~1年半で、短い方は4ヶ月、6ヶ月で完了する場合もあります。まずは、検査結果から治療方針を決定し、必要に応じて前処置(虫歯や歯周病の治療など)を行いますが、当院ではインプラントを除くほぼ全ての歯科治療を当院で対応しており、前処置を他院に依頼することがほとんどありません。インプラントや高度専門治療が必要な場合は、信頼できる提携歯科医院にご紹介しておりますので、ご安心ください。
また、治療時間は毎回1~2時間設けており、治療の途中で歯列の模型を作製し、咬み合わせをチェックしながら進めているため、1回の治療は長くとも、全体の治療時間は格段に短縮されます。通院頻度は3週間間隔が一般的ですが、2週間という短い間隔で来院していただくほうが、効率的に治療が進む場合もあるため、必要に応じて2週間、3週間、4週間と間隔を調整しています。
当院で治療可能な
歯並びの種類
一般的に歯のガタガタを矯正する際には必ずといってよいほど小臼歯の抜歯をすることがあたりまえと考えられていましたが、当院の不正咬合の考え方では、多くのケースで抜歯は必要ありません。非抜歯治療をすると前歯が出っ歯になってしまうと考えられがちですが、そうではありません。無理に非抜歯治療するのではなく、抜歯の必要がないと診断された場合に、非抜歯治療をするため、結果的に出っ歯にはなりません。ガタガタの大小で抜歯・非抜歯治療が決まるのではありません。
ただし、通常、非抜歯治療では、親知らずは抜歯することも多いです。
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叢生

歯のガタガタが多くても、多くの場合は小臼歯抜歯をしないで治すことができます。
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開咬(オープンバイト)

開咬とは、上下の前歯を閉じても、その間に隙間が生じている状態を指します。奥歯のみで咬み合っているのが特徴です。
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開口障害

大きく口を開くことができず、食事や会話にも支障が出ることがあります。口が開かない状態(開口障害)は、顎関節のずれや、不正咬合(不良な咬み合わせ) が原因で起こることも多いのです。
見た目がきれいな歯並びであっても、悪い咬み合わせなのかもしれません。 顎機能検査は、顎関節のずれや不正咬合の治療には必要な検査です。 -
反対咬合

上下の歯の咬み合わせにおいて、上顎の歯より下顎の歯が前に出ている咬み合わせです。前歯だけではなく奥歯が反対の咬み合わせの場合もあります。
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顎偏位

顎の位置がずれている状態です。顔も曲がって見えることが多いです。
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出っ歯

上顎の前歯、又は上下の前歯が突出していて、口唇が閉じにくい場合もあります。
非抜歯矯正の
メリット・デメリット
非抜歯矯正のメリット
健康な歯を残すことができる
矯正治療のために健康な歯を抜く必要がないため、ご自身の歯を将来にわたって多く残せる可能性が高まります。小臼歯は奥歯にかかる力を分散させる重要な役割があり、これを残すことで長期的な口腔内の健康維持につながります。
治療期間が短くなる傾向がある
抜歯を伴う矯正では、抜歯したスペースを閉じるための期間が必要ですが、非抜歯矯正ではその工程がないため、治療期間が短くなる傾向があります。
全身への影響を軽減できる可能性がある
歯を抜くことで咬み合わせのバランスが崩れると、顎関節への負担が増加し、頭痛、肩こり、めまいなど全身の不調を引き起こす可能性があります。非抜歯矯正では、このようなリスクを軽減できる可能性があります。
非抜歯矯正のデメリット
精密な診断が必要
非抜歯矯正を適切に行うためには、歯並びの見た目だけでなく、顎関節の機能を含めた精密な診査・診断が必要です。レントゲンと歯型だけでは不十分で、顎の動きや咬み合わせの力の分散を詳しく調べる必要があります。
診断が不十分な場合のリスク
咬み合わせを考慮しない診断で治療を行った場合、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 口元が突出する、または引っ込みすぎる
- 治療後に歯並びが元に戻る(後戻り)
- 顎の痛みや違和感が続く
- 硬いものが咬めないなど機能的な問題が残る
※これらの問題は、抜歯・非抜歯にかかわらず、診断が不十分な場合に起こり得ます。
適応の判断には専門的な検査が必要
患者様のお口の状態によっては、非抜歯矯正が適さない場合もあります。顎関節の機能検査を含めた精密検査により、適切な治療方針を決定することが重要です。
矯正治療の注意点
- 矯正治療は保険適用ではなく自由診療となります。
- 矯正器具の装着時に、患者様が食事、会話、見た目などに違和感を覚える場合があります。
- 矯正器具の装着時に、歯が磨きにくくなるので、より入念なブラッシングが必要になります。
- 矯正器具によっては口を動かした際、口の中の粘膜が傷つくことがあり、炎症を引き起こす場合があります。
- ご自身で着脱できる矯正器具の場合は、成果を得るために、装着時間を守る必要があります。
- 矯正治療終了後、しっかり保定しないと後戻りをする場合があります。
非抜歯矯正で使用する装置
下記写真のような「MEAW」というワイヤーや「GUMMETAL(ゴムメタル)」というワイヤーを、使用して歯の表面にブラケットを装着し、マルチブラケット装置により歯を動かします。
MEAW
MEAW矯正の正式名称は「Multiloop Edgewise Arch Wire」といい、フックがたくさんついた形のワイヤーです。個々の歯を1本ずつではなく、たくさんの歯を同時に動かすことができるため、治療期間の短縮につながります。
GUMMETAL(ゴムメタル)
GUMMETAL(ゴムメタル)は、2001年にトヨタ中央研究所(愛知県)の先進金属研究室で開発された、革新的な歯科矯正用ワイヤーです。従来の金属とは異なる「体心立方構造」を持つβチタン合金の一種で、その最大の特徴は、まるでゴムのような驚異的な弾性と復元力です。
変形しても元の形状に戻ろうとする力が非常に強く、他の金属よりも優れた柔軟性と耐久性を兼ね備えています。弾性と継続的な矯正力が働くため、治療期間を短くすることができます。
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治療期間・治療回数
1年~1年半・2~3週間に1回
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治療費用
990,000円~1,100,000円(税込)
注意事項
食べ物がつまりやすく歯みがきが大変になることがある。
MEAWやゴムメタルはたくさんあるワイヤーの種類の一つにすぎません。
ワイヤーが咬み合わせを治すのではなく、診査・診断が最も重要です。
マウスピース型矯正装置の
リスクについて
当院ではマウスピースによる矯正治療を基本的に行っていません。「手軽そう」というイメージのマウスピース矯正ですが、適切な診断力と専門知識に基づかない治療計画では、歯並びが改善しない、咬み合わせが悪化するなどのリスクが伴います。特に複雑な症例は適応外となることがあり、無理に進めると治療期間が長期化したり、満足のいく結果が得られない可能性があります。
部分矯正のリスクについて
気になる一部分だけを治す部分矯正は、動かした歯と動かしていない奥歯との咬み合わせに不具合を生じさせるリスクがあります。全体のバランスを考慮しない治療は、顎関節への負担や歯の寿命を縮める原因にもなりかねません。当院では、見た目だけでなく機能性を最優先に考え、歯列全体を整える全体矯正のみを行い、長期的に安定した咬み合わせを目指します。